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「その花の匂いは誰のため?」
この言葉に行き着くまで私は、天然香料(精油)、所謂“アロマオイル”をあたりまえのように購入し、希少僅かな精油ほど、まるで宝物のように扱っていました。その概念を覆すまでは。
松本あゆみ|嗅覚アーティスト
1981年、沖縄県生まれ。
幼い頃から絵を描くことと、雑貨やファッション・インテリアが大好きで、「世界観のあるもの」に触れることが日常の楽しみでした。
また、小学生の頃には1人で星空を眺めて、無になる時間をとっていました。誰に教えてもらったわけでもなく、今で云うそれは瞑想にあたると思います。人との関わりや様々な環境下にとても敏感な子でした。
地元の高校を卒業後は、好きが高じて雑貨バイヤーを目指し、福岡の専門学校でマーケティングや雑貨ビジネスを学びますが、当時は就職氷河期まっただ中。
雑貨ショップやファッション関係の面接を何十社と受けるもなかなかご縁に恵まれず、テレアポ・介護・飲食・製造業など、いくつもの仕事を掛け持ちしながら生活を続けていました。
20代のほとんどは、休みがほぼない日々。それでも「好きなものに関わっていたい」という気持ちだけは手放さずにいました。
香りとの最初の衝撃
休みなく働く20代。心身共に疲れていた時に転機が。それは、友人に紹介してもらったアロマセラピーとの出会いでした。
姉妹でセラピストをされているサロンで、「4hand(フォーハンド)」という、二人のセラピストが同じリズムで行うアロマオイルマッサージを初めて体験しました。
そのときの香りと施術は、「気持ちいい」を超えて、心の奥が震えるような衝撃でした。
その足で立ち寄った本屋で、何気なく手にとった雑誌『beauty therapy』を立ち読みし、そこで“セラピー”という言葉を知ります。
「セラピーは、様々な人を救うかもしれない。
なにより、まずは自分自身を整え、満たしてあげることが、これからの時代には必要になってくるはず。」
そう直感し、この日を境に、香りとセラピーの世界へと深く踏み込むことになりました。
学びと修行の時代
アロマセラピーを本格的に学ぶため、会社員として働きながら資金を貯め、沖縄へ帰郷。
夜間のコースがある沖縄スパアカデミーに入学し、アロマセラピーやエステティックの資格を取得しました。
その後は、まず現場での経験を積むためにリラクゼーションサロンへ転職。
那覇市内の店舗サロンでは、アロマオイルマッサージ、タイ古式マッサージ、タイ式フットマッサージ、フェイシャルマッサージなど、さまざまな施術を担当しました。
読谷村・恩納村のリゾートホテル施設内サロンでは、リゾートに訪れるお客様へエステティック・リラクゼーションマッサージを担当。
その後は、アロマセラピスト養成スクールにて講師アシスタントとして勤務し、セラピストを目指す方々の学びをサポート。
こうして、サロンワークだけでなく、講師業・サロン立ち上げ・運営サポートなど、さまざまな角度から「からだと香り」に向き合ってきました。
国内外での学びと、からだ・香り・心のつながり
さらに、香りと身体感覚の深さを探るため、国内外で多くの技術を学びました。
- AEAJアロマインストラクター
- AEAJアロマブレンドデザイナー
- 香りソムリエ™ フレグランスアーティスト・ レベル 1、レベル 2
- JAMHAハーバルセラピスト受講
- 日本リメディアルセラピー協会 BASICコース
- エサレン®︎ボディワーク入門(21時間)受講
- テンプル式ロミロミ
- 微導法マッサージ
渡航歴としては、タイ・バリ島にてタイマッサージやバリニーズマッサージ、フェイシャル。そして「触れる」ことの心得、目には見えないエネルギーの話しなど、現地の方々との出会いから、
「からだ・感情・記憶・香り・エネルギー」がどう結びついているのかを、技術と体験の両面から探求してきました。
タイ国チェンマイにて
- Wandee Ancient Massage
- タイマッサージベーシックコース修了
- Therapeutec Thai Massage
- セラピューティック・タイマッサージ
- Ajahn Sinchai(シンチャイ氏に師事)
インドネシア国バリ島にて
- Jamu Spa School
- バリニーズ
- マッサージベーシックコース修了
- Jamu Spa School
- バリニーズ
- フェイシャルマッサージコース修了
三重県へ。もう一度“香り”と向き合う時間
勤めていたサロンの閉店を機に、一度セラピストの仕事から離れ、会社員へ戻ります。
人事の辞令により、三重県へ移動し勤務することになりました。
30代前半、「この先の人生をどう生きていきたいか」をあらためて見つめ直すタイミングでもありました。
ほかの仕事に就きながらも、私にとって香りはセルフセラピーそのものでした。
香りについて調べたり、学び続けている自分に気づいたとき、やはり「もう一度セラピストとして、今度は自分のサロンを開業したい」と強く思うようになりました。
平日は会社員として働きながら、休日はニールズヤード名古屋校に通い、アロマインストラクターとハーバルセラピストのコースを受講。
マッサージ技術のスキルアップのために東京へも通い続けました。
2015年、結婚・出産を機に仕事を辞めてからは、家庭と育児が中心の暮らしに。
それでも、「いつか自分のサロンを」という想いを抱きながら、起業の準備は静かに続けていました。
香りと心のセッションへ
2018年、スピリチュアルに精通する方との出会いがありました。
そこで香り・匂いが心理的にもつながっていることを教えていただいたことがきっかけで、
人の精神と香り・匂いとのつながりを意識的に観察・研究するようになります。
心理学・精神の学びをおよそ2年ほど続け、
香りから立ち上がる情景やイメージを「言葉」にしてお伝えする個人セッションを開始。
最初は約100名の方にモニターとしてご協力いただき、その後はのべ500名ほどの方に「香りのセッション」を提供してきました。
リラクゼーション Shiny の誕生
2020年6月5日、「リラクゼーション Shiny」の屋号で起業。
香りのセッションに加え、リラクゼーション系のオイルマッサージ(ロングストロークマッサージ)や
着衣のまま受けられる微導法マッサージなどもメニューに取り入れ、活動を続けました。
第二の衝撃:サガリバナの香りとSDGs的フレグランス
そんな中、忘れられない出来事が訪れます。
2023年5月、祖母の旅立ちにより沖縄へ帰省した夜。
実家の庭からふわりと香ってきた花「サガリバナ」の匂いに、懐かしさと切なさを覚えました。
「この香りの精油ってあるのかな?見つけたら購入したいな」と思い、サガリバナの精油を探してみるものの、なかなか見つかりません。
何度も検索を続けるうちに、恩師となる嗅覚アーティスト上田麻希先生のホームページに辿り着きました。
そこで目にしたのは、「SDGs的フレグランス」という考え方。
精油をつくるには驚くほど大量の原材料が必要であり、
特に花の精油は、純粋な精油だけで生産することはほぼ不可能であるという事実でした。
これまで私は、「健康のため」「予防医学のため」「心地よく過ごすため」に香りを取り入れ、『天然であるほど良いもの』と思っていました。
その良さを仕事でも提供してきました。
私たち、特に先進国ではアロマ(精油)を当たり前のように購入できています。
しかし本来、植物から発せられる匂いは、人間のためにつくられたものではありません。
私たちはその“おこぼれをお裾分けしてもらっている”という視点に触れたとき、
それまで当たり前と思っていた香りの在り方が大きく揺さぶられました。
上田先生は、わずかな量の花から香りを抽出し、
散ったら失われる香りを調香によって補うという手法でサガリバナのフレグランスを制作されています。
その方法は、自然に大きな負荷をかけることなく、香りを表現するものでした。
サガリバナの作品と先生との出会いは、私にとって人生2度目の衝撃でした。
「これからの香り文化を、どう捉え直していくのか」
「人と香り、動植物との関係をどう結び直していくのか」
そうした問いを抱くようになり、香り・匂いに今まで以上に特化したサロンへと方向性を変えていきます。
調香サロン Shiny へ
上田麻希先生主催の香りソムリエ™︎フレグランスアート・レベル1、レベル2を受講。
本格的な調香トレーニング、サスティナブルパフューマリーなど、改めて学び直しました。
そして2024年、屋号を「調香サロン Shiny」へと変更。
現在は、フレグランス調香体験会と、テーマは様々とありますが「◯◯ × 嗅覚」といったペアリングを専門として活動しています。
提供していること・今の活動
-
- ・フレグランス調香の体験型ワークショップ
- ・Live・dance・パフォーマンス・演劇などでの香り演出
- ・個人使用様でオリジナルな香りの依頼制作
- ・個展・企画の運営
強み・特徴
天然香料(精油)だけでなく、単体香料・合成香料の知識を持ち、
それぞれの香料の特性や良さを踏まえて調香できることが強みです。
「できるだけ天然香料で作りたい。※希少の香りは、サスティナブルの観点から代替調香でお作りしています。」「香りの世界観をもっと拡げたい」「匂いのする素材から表現したい」など。ご依頼者さまのイメージやテーマ、用途に応じて、香りの表現、体験をご提案します。可能であれば現場の空間も拝見しながら、香りを一緒に創り上げていきます。
大切にしている想い
嗅覚の展示、自主作品では、様々なテーマに対して『匂いを素材に』
芳香だけに留まらず、目新しい感覚や、立ち止まって見つめてみるきっかけ、新たな意識が拡がっていくようにと活動しています。
届けたい人
- ダンサー、パフォーマー、音楽家、表現者で、嗅覚の演出を取り入れてみたい方
- コンセプトBAR、カフェ、サロンなど、香りとの結びつきを提案したい方
- ファッション、雑貨店などで香りのアイテムを取り入れたい方
- 味覚と嗅覚のペアリングに興味のある方
- 香りが好きな方はもちろん、香りや匂いのするものが苦手・うまく付き合えないと感じている方
好きなこと・人柄
- 踊ること(コンテンポラリーダンス、カラーガードダンスを継続中)
- 山へトレッキングに行くこと
- ファッションや雑貨、インテリア。街でのウィンドウショッピングや古着も好きです
- 怪談や不思議な話を聴くこと(少しマニアックな一面です)
屋号「Shiny」に込めた想い
かつて、沖縄・北谷に「リラクゼーション Shiny」という屋号のサロンがありました。
海の目の前に広がる景色と、そのサロンの空気感がとても素敵で、
そして「Shiny」という響きが、なぜかずっと心に残っていました。
その記憶へのオマージュと、自分の中にある「光」のイメージを重ねて、
自身のサロン名にもShinyという名前をつけました。
